Viewable Impressionで変わるアドの世界
Line
2012/6/14(木)

こんにちは。最近、かっぱ寿司のテレビCMが「かっぱ寿司を食べたい宇宙人シリーズ」から「よくわからない恋愛シリーズ」に変わってしまい本気で落ち込んでます。あの宇宙人シリーズ大好きだったのに!

 

先日、コスモロジー社と協働して「コスモロジー、次世代インプレッション保証型広告商品「Viewable Impression」を販売開始」というプレスリリースを公開させていただきました。弊社は技術サポートしております。(Viewable Impressionについては「そろそろ「インプレッション」を見直そうというビッグウェーブ」をご覧ください)

 

このコスモロジーのViewable Impressionは、InView(スクリーンにクリエイティブの50%以上の面積が1秒以上、露出した)インプレッション分のメディアコストしか広告主・広告代理店へ請求しない一方で、InViewに該当しなかったインプレッションについてはメディアコストをコスモロジーが負担しています。メディアサイドはまだ非InViewインプレッションについても収益を受け取れるというメカニズムです。コスモロジーはInViewレートをあげていかないとすぐに逆ざやになってしまいます。なので、InViewレートをあげる努力をするわけです。なお、この傾向はコスモロジーだけではなく、DSPほかデマンドサイドのあらゆるプレーヤーにも強く存在するモチベーションです。

Viewable Impressionではコスモロジーが非InView分のメディアコストを吸収(負担)しているわけですが、このInViewインプレッションこそ実インプレッションである、というムーブメントがメディアサイドに押し寄せるのも時間の問題と言えます。また、DSPからのインプレッション買いが進んでいる今日では、実はInViewインプレッション在庫と非InViewインプレッション在庫では扱いがすでに分け隔てられてるというノンフィクションも存在しています。

 

今日はそのあたりについてざっくり考えていきたいと思います。

 

それではどうぞ。

メディアはどこにアドユニットを設置するべきか

以前、「RTB時代に広告収益を高める10の鉄則」というエントリーを書いたのですが、当時はViewable Impressionという概念はまだ世に出ていませんでした。

そのエントリーのなかに「9. ファーストビューにレクタングル(300×250)を入れて広告クリック率を上げる」というのがあったのですが、これに加えてちゃんとページのボトムまでスクロールされるレイアウトサイト構成にトライする、というのがInViewでは重要になります。スクロールしないと見られない位置にアドユニットがあったとしても10中8, 9スクロールされてしっかり見られていれば準ファーストビュー扱いになります。

このスクリーンショットはwired.comのページです。

ファーストビューに収まっているのは728×90のスーパーバナーです。スクロールしないと見られないエリアに300×250のミディアムレクタングルが設置されています。

RTBでインプレッション在庫を販売している場合、スーパーバナーは「確実にファーストビュー」なインプレッションとしてRTBオークションにかけられます。

一方、ミディアムレクタングルは「ファーストビューではない」インプレッションとしてRTBオークションにかけられます。

「ファーストビューではない」もののInViewレートが高くCTRが高いインプレッションとして認識されれば高単価によるビッディングを期待できます。←メディアはここが狙いどころです

また、スクロールされずにいつも非InViewというインプレッションは、最終的にビッディングされなくなってしまいます。

つまり、ファーストビュー外にあるアドユニットの収益性はRTB時代ではスクローラビリティ(scrollability)により、InViewの面では大いに上下されてしまうのです。

CrazyEggでもClickTaleでもスクローラビリティを可視化してくれるサイトアナリティクスツールがたくさんあるので、一度自社管理のメディアのスクローラビリティを棚卸しておくとベターです。

そして、ページのボトムまでちゃんとスクロールされるページ構成を実現できれば、RTB時代においても確かな収益性を確保できると思います。

例を挙げると、発言小町のように各ページで、ついつい最後までスクロールさせるレイアウト構成というかコンテンツが強いと思います。

変わるメディアのラインアイテム

あくまでも雑感ですが以下の様な商品がラインナップされるようになります。

  • ファーストビュー商品を中心としたインプレッション保証商品
  • ファーストビュー外なもののけっこうな確度でInViewになるプレ保証商品
  • 上記以外のレムナントバルク商品

最新の事例では、forbes.comがコムスコア社と組んで発表したInViewインプレッション保証型プレミアム商品が参考になります。アドのInViewを100%保証したりするかわりにミニマム予算を25万ドルに設定したりとアグレッシブな姿勢をみせています。

http://www.comscore.com/Press_Events/Press_Releases/2012/3/Forbes_Leads_the_First_Wave_of_Publishers_to_Adopt_comScore_validated_Campaign_Essentials

このように媒体社が率先して自社のインプレッション在庫の品質・状態を管理し向上させ、商品を販売していくようなトレンドがViewable Impressionの導入によって引き起こされています。forbes.comのケースでは自社の在庫状況を正確に認識するためにコムスコア社とのパートナーシップを構築しています。自社テクノロジーのみですぐにInView/非InViewを把握し管理できる媒体社は少ないと思います。forbes.comのように戦略的アライアンスを組んでいき自社のビジネスをトレンドに乗せてリフトアップさせる転換期に来ていると言えます。

妥当なインプレッションとはなにか

ここまでは媒体社目線のイシューだったので、今度はアドバタイザー目線で考えていきたいと思います。

アドベリフィケーションのテクノロジーが台頭してきた功績により、インプレッションにはInViewのインプレッションと非InViewのインプレッションが存在することがわかりました。

これまでアドネットワークやメディアから受けるレポーティングには

  • インプレッション数
  • ユニークブラウザ数
  • クリック数
  • クリック率
  • コンバージョン数
  • コンバージョン率

といったものが代表的な指標だったと思います。

これが以下のように変わります。

  • インプレッション数
  • InView率
  • InViewインプレッション数
  • 非InVinewインプレッション数
  • ユニークブラウザ数
  • 有効ユニークブラウザ数
  • クリック数
  • クリック率(分母にInViewインプレッション数)
  • コンバージョン数
  • コンバージョン率

見られなかったクリエイティブがクリックされることはありませんので、非InViewインプレッション数を母数としたクリック数は論理上0になるはずです。ですので、クリック率の分母にはInViewインプレッション数が採用されます。

やたらとインプレッション数が多いのにクリック率が低いメディアというのは、実はInView/非InViewを計測してみると非InViewのインプレッションがとてつもなく比率が高いのかもしれません。こればかりは計測してみないとなんとも言えませんが、今後必ず明らかにすべき計測対象だと思います。

というのも、クリエイティブの良し悪しをCTRで判定しているようなクリエイティブオプティマイザやイールドオプティマイザに非InViewを含んだ総インプレッション数を母数にしたCTRをチューニングの変数として渡している場合、見られなかったインプレッションでのCTR0.0%も調整の変数として計上してしまうため、クリエイティブの評価すら土台から崩しかねないとも言えるからです。ファーストビュー保証のプレイスメントでのオプティマイザのほうが、そうでないプレイスメントでのオプティマイザの挙動よりも効果が高い理由がこの現象と言えます。

アトリビューションにおいての妥当なインプレッション

アトリビューションにおいてはクリックされなかったアドビューの貢献度はそれなりに存在する、とされています。そこで、非InViewインプレッションをアドビューとしてカウントから排除しないと、見られていないアドだったにも関わらず、解析上は「アドビューでアシスト」になってしまい、実際の印象効果とはズレが生じてしまいます。

InViewのインプレッションと非InViewのインプレッションを正確に区別して扱わないと、間違った解析結果を手にすることになってしまいかねません。

 

いかがだったでしょうか?

まだ若い概念ということもあって大いにディスカッションが必要な分野のイシューですけれども、ざっくりと触れてみました。日々、各プレーヤーの見解や取り組みが明らかになり、現場投入がされていくようになっていくと思います。いずれにしてもコンシューマーを含む全ステークホルダーが効用の最大化を得られるような進化でなければ自滅への進化となってしまうので、その点を気をつけながらテクノロジーとつきあうように努力していきたいと思っています。それでは。